こんにちは、三信電気の鮎太郎🐟です。
Bluetooth製品の取り扱いをしていると、お客様から頂く質問で多いのが、Bluetoothの通信距離とゲートウェイの受信性能になります。
そんなわけで、今回はMinew製 MG6での実際の受信性能を検証したので、ブログにまとめてみました。
1台・5台・10台、さらに100ms高負荷条件で受信率を比較
BluetoothビーコンやBLEセンサーを使ったIoTシステムでは、ゲートウェイが多数の端末から安定してデータを受信できるかが重要です。
ビーコンが1台だけであれば問題なく受信できても、台数が増えたり、Advertising Interval(アドバタイズ間隔)が短くなったりすると、短時間に多くの電波が発生します。
そこで今回は、Bluetoothゲートウェイ「MG6」と複数台のビーコンを使用し、
- ビーコン1台:Advertising Interval 1s
- ビーコン5台:Advertising Interval 1s
- ビーコン10台:Advertising Interval 1s
- ビーコン10台:Advertising Interval 100ms
という条件で、実際の受信性能を確認しました。
試験条件
通常条件では、ビーコンは1秒に1回Advertising信号を送信する設定としました。
試験時間は各条件10分間です。
評価条件は以下の通りです。
| 条件 | ビーコン台数 | Advertising Interval | 理論送信回数 |
|---|---|---|---|
| 条件1 | 1台 | 1000ms | 600回/台 |
| 条件2 | 5台 | 1000ms | 600回/台 |
| 条件3 | 10台 | 1000ms | 600回/台 |
| 条件4 | 10台 | 100ms | 6,000回/台 |
1000ms条件については、各1秒区間で対象ビーコンを1回以上検出できた場合を「受信成功」としました。
一方、100ms条件では1秒間に理論上10回Advertising信号が送信されます。
そのため、
各1秒で最大10回までを有効受信回数としてカウント
しました。
例えば、
- 1秒間に10回受信 → 100%
- 1秒間に8回受信 → 80%
- 1秒間に12回ログ記録 → 100%
として評価しています。
ログでは同一MACが1秒内に複数回記録されることが確認できています。
試験結果
1台・5台・10台での受信率
Advertising Intervalを1000msに固定し、ビーコン台数を増やした結果は以下の通りでした。
| ビーコン台数 | 平均受信率 |
|---|---|
| 1台 | 89.83% |
| 5台 | 89.40% |
| 10台 | 88.50% |
1台から5台に増やした場合の低下は0.43ポイント、10台まで増やしても1台時との差は1.33ポイントでした。
今回の条件では、ビーコン台数を1台から10台に増加させても、大きな受信性能低下は確認されませんでした。
10台時のビーコン別受信率
10台・Advertising Interval 1000msでの各ビーコンの受信率は以下の通りです。
| Beacon MAC | 受信率 |
|---|---|
| C203030048BE | 89.83% |
| C203030048BF | 88.00% |
| C203030048C2 | 87.33% |
| C203030048C9 | 90.00% |
| C203030048CA | 89.67% |
| C203030048CB | 87.50% |
| C203030048CD | 90.17% |
| C203030048CE | 87.17% |
| C203030048CF | 88.00% |
| C203030048D0 | 87.33% |
最低でも87.17%、最高で90.17%となり、10台間で大きな偏りは見られませんでした。
高負荷条件:10台・Advertising Interval 100ms
次に、より高負荷な条件として、10台すべてのAdvertising Intervalを100msに設定しました。
この場合、1台あたり1秒に10回、10台合計では理論上、
100回/秒
のAdvertising信号が発生します。
10分間では、
6,000回/台 × 10台 = 60,000回
のAdvertisingが発生する計算です。
100ms条件の受信結果
1秒あたり最大10回を有効受信回数として集計した結果は以下の通りです。
| Beacon MAC | 有効受信回数 | 理論回数 | 受信率 |
|---|---|---|---|
| C203030048BE | 4,664 | 6,000 | 77.73% |
| C203030048BF | 4,749 | 6,000 | 79.15% |
| C203030048C2 | 4,809 | 6,000 | 80.15% |
| C203030048C9 | 4,737 | 6,000 | 78.95% |
| C203030048CA | 4,633 | 6,000 | 77.22% |
| C203030048CB | 4,527 | 6,000 | 75.45% |
| C203030048CD | 4,795 | 6,000 | 79.92% |
| C203030048CE | 4,797 | 6,000 | 79.95% |
| C203030048CF | 4,335 | 6,000 | 72.25% |
| C203030048D0 | 4,828 | 6,000 | 80.47% |
| 10台平均 | 46,874 | 60,000 | 78.12% |
今回の高負荷条件では、10台平均で**78.12%**という結果になりました。
つまり、1台あたり1秒に10回送信する条件に対して、平均すると約7.8回/秒相当を受信できていることになります。
1000ms条件と100ms条件の比較
今回の結果をまとめると以下の通りです。
| 条件 | 台数 | Advertising Interval | 平均受信率 |
|---|---|---|---|
| 通常負荷 | 1台 | 1000ms | 89.83% |
| 通常負荷 | 5台 | 1000ms | 89.40% |
| 通常負荷 | 10台 | 1000ms | 88.50% |
| 高負荷 | 10台 | 100ms | 78.12% |
Advertising Interval 1000msでは、台数を10台まで増加させても受信率は約88~90%を維持しました。
一方、100msまで送信間隔を短縮すると、10台平均の受信率は78.12%となりました。
これは、単純な台数増加よりも、短時間に集中するAdvertising信号数の増加の方が受信性能に影響しやすいことを示しています。
重要なのは「何台あるか」だけではない
今回の試験から、Bluetoothゲートウェイの受信性能を評価する際には、ビーコンの台数だけではなく、
Advertising Interval
も重要であることが分かります。
例えば同じ10台でも、
- 1000ms設定 → 約10回/秒
- 100ms設定 → 約100回/秒
となり、ゲートウェイに入ってくる電波量は大きく変わります。
そのため、「最大何台接続できるか」という台数だけではなく、
1秒あたり何回のAdvertising信号が発生する環境なのか
という観点で評価することが重要です。
IoT用途では100%受信が必要とは限らない
ビーコンを使用したIoTシステムでは、必ずしもすべてのAdvertising信号を100%受信する必要があるとは限りません。
例えば、
- 人や物の存在確認
- 資産管理
- 工場内の設備監視
- 温湿度センサー
- 位置検知
- 入退室検知
などでは、一定時間内に対象ビーコンを継続的に検出できることの方が重要になる場合があります。
そのため実際のシステム評価では、
- 1秒あたりの受信回数
- ビーコンを見失う時間
- 最大連続未受信時間
- 台数増加による性能変化
- RSSIと受信率の関係
なども併せて確認する必要があります。
今回の試験まとめ
今回、MG6を使用し、ビーコン台数とAdvertising Intervalを変化させて受信性能を確認しました。
結果は、
1台・1000ms:89.83%
5台・1000ms:89.40%
10台・1000ms:88.50%
10台・100ms:78.12%
となりました。
1000ms条件では、ビーコンを10台まで増加させても大きな性能低下は見られませんでした。
一方、10台のAdvertising Intervalを100msまで短縮した高負荷条件では、受信率は78.12%となり、送信頻度の増加による影響が確認されました。
今回の結果から、MG6は10台程度の同時受信では比較的安定した受信性能を維持しながら、100回/秒相当の高負荷条件でも一定量のAdvertising信号を継続して受信できることを確認しました。
今後は、
- 20台以上での同時受信試験
- 100ms条件での台数増加
- 通信距離による受信率の変化
- RSSIと受信性能の関係
- 最大連続未受信時間
などについても評価していきます。
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