電子機器の開発・設計は、要件定義から試作、評価、量産までの工程を経て進められます。本記事では、電子機器の開発・設計の流れに加え、費用や方法、注意点を分かりやすく解説します。
電子機器の開発・設計の流れ

画像引用元:当社「開発受託製造サービス(ODM/OEM)」(https://www.sanshin.co.jp/solution/iot/odm_3/)
電子機器の開発では、要件定義から設計、試作、評価までの工程を段階的に進めることが重要です。各工程には役割があり、順序を守って進めることで品質やコストを最適化できます。ここでは、電子機器の開発・設計の流れを分かりやすく解説します。
要件定義・仕様策定
電子機器の開発・設計では、まず要件定義と仕様策定が重要です。初期段階で決めた製品の方向性によって、後工程の品質やコストが大きく変化します。
例えば、使用環境や必要な機能、サイズ、予算などの要件を明確にしておかないと、開発途中で仕様変更が発生してしまいます。要件や仕様が曖昧なまま開発を進めると、試作後に大幅な修正が必要になってしまいます。
そのため、関係者間で認識を揃えながら、具体的な数値や条件まで落とし込むことが大切です。
回路・基板の設計
次の工程は、回路・基板の設計です。電子部品をどのように組み合わせて機能を実現するかを具体的に形にしていきます。
- 回路設計で、電気的な動作を考えながら構成を決める
- 基板設計で、部品の配置や配線を決める
回路・基板の設計は、電子機器の性能や信頼性、さらには製造のしやすさに影響します。例えば、配線の取り回しが適切でないとノイズが発生したり、発熱が集中したりするリスクがあります。
そのため、単に動作するだけでなく、安定して使える回路・基板を設計することが重要です。
試作(実装・組立)
試作は、設計通りに動作するかを確認する工程です。設計データをもとに基板を製造し、部品を実装して、電子機器を組み立てます。
図面上では問題がなくても、実装・組立をすると不具合が見つかることがあります。例えば、部品同士の距離が近すぎて熱がこもったり、コネクタの位置が使いにくかったりすることがあります。
試作段階で課題を洗い出し、設計へフィードバックすることが重要です。
評価・検証・改良
試作後に評価・検証を行い、必要に応じて改良を加えます。電子機器の品質を高めるうえで欠かせない工程です。
動作確認だけでなく、耐久性や安全性、使用環境での安定性などもチェックします。例えば、温度変化や振動に対する影響を確認することで、実際の使用環境で問題なく動作するかを判断できます。
評価・検証をして不具合や改善点が見つかった場合は設計にフィードバックし、再試作を行います。評価と改善を繰り返すことで、完成度の高い製品へと仕上げることが重要です。
電子機器の開発・設計の費用

電子機器の開発・設計にかかる費用は、製品の仕様や開発の範囲などによって大きく変動します。「設計のみか、試作まで含むか」「外注か内製か」などによって金額は異なります。ここでは、開発・設計費用の相場と内訳について分かりやすく解説します。
費用の相場
電子機器の開発・設計費用は内容によって幅が大きく、1製品につき数十万円から数百万円以上が相場です。要件定義・仕様策定から回路・基板の設計、試作、評価・検証・改良までの工程が含まれます。
要件や仕様が複雑になるほど設計工数が増えるため、開発費用が高くなります。
- 簡単な基板設計のみであれば、比較的低コストで済む
- マイコン制御や筐体設計、ソフトウェア開発まで含む場合は費用が膨らむ
そのため、事前に開発範囲を明確にすることが、予算管理のポイントです。
費用の内訳
電子機器の開発費用の内訳には、主に設計費・部品費・試作費・評価費が含まれます。開発を進める前に、「どの工程にどれだけコストがかかるか」を試算することが重要です。
各費用の目的は、以下の通りです。
- 設計費:回路・基板設計の人件費
- 部品費:使用する電子部品の購入費
- 試作費:基板製造や部品実装、電子機器の組立の費用
- 評価費:動作確認や検証作業の費用
電子機器開発費用の総額は、各費用が積み重なって決まります。開発コストを最適化するためには、「どの工程を外注して、どこまで自社で対応するか」を検討することが重要です。
電子機器の開発・設計の方法

電子機器の開発・設計では、「自社で行うか、外部と連携するか」によって適した方法が変わります。自社のリソースや開発の目的などに適した方法を選ぶことが、成功の鍵です。ここでは、自社開発と共同開発、ODM・EMSについて詳しく解説します。
自社開発(内製化)
自社開発(内製化)は、企画から設計・試作・評価までの工程を外注せず、自社の人材や設備で行う方法です。
自由度の高さがメリットで、自社の技術やノウハウを活かしながら、細かい仕様まで柔軟に調整できます。自社の独自技術を活かした製品で競合との差別化を図りたいときに、自社開発が有効です。
一方で、人材や設備が必要となるため、初期投資や人件費がかかる点には注意が必要です。そのため、自社開発は、開発体制が整っている企業や長期的に技術を蓄積したい場合に適しています。
共同開発
共同開発は、自社と外部企業が役割分担し、それぞれの技術やノウハウを活かしながら開発を進める方法です。
専門性を補完し合いながら効率よく開発を進められる点がメリットです。また、技術的な課題を共有しながら進められるため、リスクを分散できます。
ただし、役割分担や仕様の認識にズレがあるとトラブルにつながるため、事前のすり合わせが重要です。自社が企画や販売を担当し、設計は専門企業が担うといった役割分担を行うことで、品質とスピードを両立しやすくなります。
EMS・ODM(外注)
EMSやODMを活用すれば、電子機器の開発を外部に委託できます。
| 外注の種類 | EMS (Electronic Manufacturing Services) | ODM (Original Design Manufacturer) |
| サービスの特徴 | 自社で設計し、製造や実装を外部企業に委託する | 設計から製造までを外部企業に一括で委託する |
| 適した企業 | 設計は自社で対応できる量産を外注したい 製造コストを最適化したい | 開発リソースが不足している短期間で製品化したい 初めて電子機器を開発する |
対応範囲や技術力は外注先によって異なるため、事前に確認することが重要です。EMSとODMの違いについては、以下のページに詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。
電子機器の開発・設計の注意点

電子機器の開発・設計では、コストと性能のバランス、量産化、品質・安全規格などに注意することが必要です。初期段階の判断が後工程に大きく影響するため、よく検討してから開発を進めることが重要です。
コストと性能のバランス
電子機器の開発では、コストと性能のバランスを意識することが重要です。高性能を追求しすぎるとコストが上がり、逆にコストを抑えすぎると品質や性能に悪影響が出てしまいます。
例えば、過剰なスペックの部品を選ぶと製品価格が高くなり、競争力を失うリスクが高くなります。一方で、安価な部品を優先しすぎると、耐久性や安定性に課題が生じることがあるのです。
そのため、開発したい電子機器に必要な性能を見極めたうえで、適切なコスト配分を検討することがポイントです。
量産を見据えた部品の選定
部品を選定する際は、量産を見据えることが重要です。試作段階で入手しやすい部品でも、量産時に供給が不安定であれば問題になります。
例えば、特殊な部品や流通量が少ない部品を使用すると、納期遅延やコスト上昇のリスクが高まります。また、代替部品が用意できないと、設計の見直しが必要です。
そのため、電子機器の設計段階で「安定供給が可能か」「長期的に入手できるか」を確認しながら、部品を選定することが大切です。
品質・安全規格への対応
電子機器の開発では、品質・安全規格への対応も欠かせません。なぜなら、市場に出す製品は法規制や安全基準を満たす必要があるためです。
例えば、電気製品には安全性に関する基準が定められており、適合していないと販売できません。使用環境によって、耐熱性や耐久性などの評価が求められます。
試作後に品質・安全規格に対応しようとすると、設計の大幅な修正が必要になります。そのため、設計段階から適用される法令や基準を守ることが重要です。
電子機器の開発・設計を計画的に進めよう
電子機器の開発・設計では、工程ごとの役割を理解し、計画的に進めることが重要です。自社に適した方法を選択し、注意点に気を付けることで、品質とコストのバランスを保ちながらスムーズに製品化につなげやすくなります。
三信電気株式会社では、電子機器の企画・設計から試作、部品調達、信頼性評価、実装、組立、量産までに一貫して対応しています。
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