ファクトリーオートメーション(FA)とは?仕組み・メリット・流れなどを解説

factory-automation01.jpg

製造工程を自動化し、生産性や品質を向上させるファクトリーオートメーション(FA)とは、どういった仕組みなのでしょうか?そこで本記事では、FAの必要性から仕組み、メリット、流れまでを分かりやすく解説します。

ファクトリーオートメーション(FA)とは?

ファクトリーオートメーションとは?
factory-automation02.jpg

ファクトリーオートメーション(FA)とは、工場内の生産工程を自動化し、効率化や品質の向上を目指す取り組みです。人の手作業を減らし、機械やシステムが連携して生産を行うことで、安定した製造体制を実現します。ここでは、FAの必要性や仕組み、スマートファクトリーとの違いを解説します。

必要性

ファクトリーオートメーションは、人手不足の解消や生産性の向上などのために必要です。FAによって、限られた人員でも高品質な製品を安定的に生産できるようになります。

ファクトリーオートメーションが推進されている背景には、少子高齢化による労働力不足や短納期・多品種生産といった市場の変化があります。組立ラインに自動化されたロボットを導入することで、24時間稼働や人的ミスの削減が可能となり、製造工程全体の生産効率が大きく向上するのです。

リソースや生産性の課題を解決するために、自動化やデジタル技術の活用が求められています。

仕組み

ファクトリーオートメーションは、センサーや制御装置、ロボットなどが連携して動く仕組みです。PLC(プログラマブルロジックコントローラ)と呼ばれる制御装置が各機器を統括し、センサーが取得したデータに基づいて生産ラインを制御します。

機械同士が情報を共有しながら自動的に作業を行うことで、人の指示がなくても安定した生産が可能になります。FAの仕組みにより、工程全体を見える化することで、不良の早期発見や生産性の最適化が実現できるのです。

近年ではIoT技術の進化により、遠隔監視やデータ分析なども可能になっています。

スマートファクトリーとの違い

スマートファクトリーは、ファクトリーオートメーションをさらに進化させた概念です。FAが「機械による工場の自動化」を指すのに対し、スマートファクトリーは「データを活用した工場全体の最適化」を目的としています。

FAでは人の代わりに機械が動くことが中心ですが、スマートファクトリーではAIやIoTなどを活用し、生産状況をリアルタイムで分析・改善する点が異なります。例えば、設備の稼働データをAIに分析させ、故障の予兆を検知してメンテナンスを自動で提案することが可能です。

以上のように、FAはスマートファクトリーの基盤となる技術であり、デジタル化の第一歩といえます。

ファクトリーオートメーション(FA)のメリット

ファクトリーオートメーションのメリット

ファクトリーオートメーション(FA)には、多くのメリットがあります。生産効率の向上や人件費の削減と人手不足の解消、品質の均一化と不良率の低減に加え、安全性の向上と作業環境の改善にもつながるのです。ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

生産効率の向上

FAの大きなメリットは、生産効率を大幅に向上できることです。製造工程の自動化によって、「速く」「正確に」「長時間まで」生産できるようになります。機械は人のように疲労せず、一定のスピードと精度で作業を続けられるからです。

例えば、組立や検査などの単純作業をロボットが担えば、24時間稼働が可能になります。また、製造データをリアルタイムで取得・分析することで、ボトルネックを特定し、工程の最適化も可能です。

以上のように、ファクトリーオートメーションは限られたリソースで最大限の生産性を実現する仕組みです。

人件費の削減と人手不足の解消

ファクトリーオートメーションは、人件費の削減と人手不足の解消にも効果を発揮します。機械による自動化で作業負担を軽減し、人的リソースをより付加価値の高い業務に集中できるようになるからです。

製造業では、少子高齢化の影響で慢性的な人材不足が続いており、単純作業を自動化することが急務となっています。そこで、ロボットアームや自動搬送装置(AGV)などを導入すれば、従業員の重労働や危険な作業を削減できるのです。

FAを進める結果として、労働環境が改善されるだけでなく、人件費の抑制にもつながります。FAは、必要な労働力を「減らす」のではなく、保有する労働力を「活かす」ための手段です。

品質の均一化と不良率の低減

ファクトリーオートメーションは、製品の品質を均一化し、不良率を減らすことにも貢献します。機械による精密作業と自動検査によって、製造のばらつきを抑えられるからです。人の手作業では個人差が生じやすく、同じ製品でも品質が変わることがあります。

例えば、カメラやセンサーによる自動検査システムを導入すれば、微細な傷や寸法の誤差などでも即座に検出できます。また、データを分析して不良が発生する原因を特定し、改善策を迅速に反映することも可能です。

製造から検査までの仕組みにより品質が安定化すれば、顧客満足度の向上も期待できます。

安全性の向上と作業環境の改善

ファクトリーオートメーションの導入は、作業者の安全性の向上と作業環境の改善にもつながります。危険な作業を自動化することで、事故やケガのリスクを減らすことができるからです。製造現場によっては、高温・高圧・重量物の取り扱いなど、危険を伴う工程があります。

例えば、ロボットが高温の部品を扱ったり、有害物質を塗布する作業を担うことで、人の健康被害を防止できます。さらに、作業姿勢の改善や騒音の軽減など、職場環境も快適になるのです。

FAで安全性と作業環境が改善し、従業員の定着率が向上すれば、結果的に企業全体の生産力を底上げします。

ファクトリーオートメーション(FA)の流れ

ファクトリーオートメーションの流れ
factory-automation04.jpg

ファクトリーオートメーション(FA)は、単に機械を導入すれば完了するわけではありません。現状分析から運用改善まで、段階を踏んで計画的に進めることが重要です。ここでは、一般的な導入の流れをご紹介します。

現状分析と目標設定

まず最初に行うのが、現状の課題を把握し、導入の目的を明確にすることです。

課題があいまいなままでは、どの工程を自動化すべきか判断できず、効果が出にくくなります。「作業時間の短縮」や「検査精度の向上」など、明確な数値目標を設定すると、導入後の評価がしやすくなるのです。

現状分析と目標設定が、ファクトリーオートメーションを成功させるための基礎になります。

自動化する業務の選定

次に、自動化の対象となる工程を選びます。優先すべきは、「労力がかかる単純作業」や「人為的ミスが起きやすい工程」などです。

単純作業やミスの多い工程を自動化することで、短期間で効果を実感できます。例えば、重たい部品の搬送や精密な検査などは、ロボットやセンサーによる自動化に適しています。

初期段階では無理のない範囲から始めることで、ファクトリーオートメーションのスムーズな運用が可能です。

システムの設計

自動化する工程が決まったら、システムを設計します。ファクトリーオートメーションでは、現場の動線や設備の構成に合わせた柔軟な設計が重要です。

既存の設備や人の動きと連携しなければ、効率的なライン構築ができません。システム設計では、センサーやロボットの配置、PLC(制御装置)の構成、通信ネットワークの構築などを検討します。

設計段階で詳細を詰めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

機器選定とプログラム開発

システムの設計が固まったら、FA機器を選定し、動作を制御するプログラムを開発します。ファクトリーオートメーションのメリットを得るためには、製造現場の条件に合わせた細かな調整が必要です。

テスト段階では、設計段階で想定していなかった制約や環境の違いが生じることがあります。例えば、ロボットアームの可動範囲やセンサーの感度を調整し、安全かつ正確に動作するよう設定することが重要です。

動作確認を丁寧に行うことで、稼働の安定化につながります。

テスト稼働と効果検証

開発したプログラムに基づいて、システム全体をテスト稼働させ、問題点を確認します。テスト段階で不具合を洗い出し、修正することが重要です。

テスト稼働によって、実際の生産状況でしか見つからない課題を発見できます。例えば、作業スピードのバランスやデータ通信の遅延などを検証し、改善することが必要です。

さらに、稼働データを分析して、ファクトリーオートメーションの目標とした効果が得られるかを検証します。

運用開始と継続的な改善

テストを終えて運用を開始した後も、継続的な改善が必要です。FAを導入して終わりではなく、運用しながら成長させることが求められます。

生産量や製品仕様の変化などに対応するためには、定期的な見直しが欠かせません。例えば、稼働データに基づいてボトルネックを分析し、工程を改善することでさらに効率的になります。

小さな改善を積み重ねることで、ファクトリーオートメーションの長期的な成果につながります。

ファクトリーオートメーション(FA)に関するよくある質問

ファクトリーオートメーションに関するよくある質問

ファクトリーオートメーション(FA)の導入を検討する際には、導入や運用の注意点、FA機器などに関する疑問を抱くものです。ここでは、ファクトリーオートメーションに関するよくある質問を集めましたので、一般的な回答をご紹介します。

導入や運用の注意点はありますか?

ファクトリーオートメーションを導入する際は、目的を明確にし、段階的に進めるように注意してください。導入効果を最大化するには、いきなり全工程を自動化するのではなく、優先度の高い工程から着手するのがポイントです。

初期段階で大規模に導入するとコストの負担が大きく、現場の混乱が生じやすくなります。そこで、検査や搬送といった単純作業から導入し、成果を確認しながら範囲を広げていくと効果的です。

また、導入後のメンテナンス体制やトラブル対応のフローを整えておくことも、FAを成功させるために重要です。FAを導入して終わりではなく、継続的な運用と改善が成果を左右します。

どのようなFA機器が必要ですか?

ファクトリーオートメーションに必要な機器は、製造内容や自動化する工程などによって異なります。代表的な構成要素は、「制御装置」「センサー」「ロボット」「通信機器」です。

  • 制御装置(PLC):ライン全体を管理・制御する中心的な役割を果たす
  • センサー:温度・位置・圧力などのデータを検知し、機械の動作を判断する
  • ロボット:組立や搬送、検査などの動作を担い、人の代わりに正確な作業を行う
  • 通信機器:各装置をネットワークでつなぎ、データの共有や遠隔操作を可能にする

FA機器を適切に組み合わせることで、効率的で安全なファクトリーオートメーションを実現できます。

ファクトリーオートメーション(FA)の導入について相談しよう

ファクトリーオートメーションは、生産性の向上や品質の改善に大きく貢献します。しかし、自工場に適したシステムを設計するためには、専門的なノウハウが必要です。信頼できる専門業者に相談し、FAの導入を進めましょう。

三信電気株式会社では、ファクトリーオートメーションの導入や運用をご支援しています。

お客様の課題を解決できる機種の選定や導入の方法をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。